2026年10月18日
僕は「形から入る」ということを、かなり大切にしている。
野球でもサッカーでもバスケットボールでもピアノでも、基本姿勢があり、基本の型があり、基本となる思考がある。
もちろん、メジャーリーガーには特殊なバットの持ち方をする選手もいれば、変則的なフォームで投げる投手もいる。
でも、それはメジャーリーガーになれるほどの才能があるから成立しているのかもしれない。
普通の人が最初から独自のやり方にこだわって、本当に上達への近道になるのだろうか。
【早く、丁寧に、上手くなる。その最短距離は、基本を徹底することだと僕は思う。】
個性と基本を混同しない
理容師の仕事でも同じことが言える。
僕は、センスや才能が大きく関わる部分には、あまり口を出さないようにしている。骨格も筋肉のつき方も感覚も人それぞれ。全員が同じ技術になる必要はない。
ただ、技術が未熟だったり、お客様からクレームをいただいたりする人を見ていると、会社で決められた基本的な持ち方や手順、行動パターンから外れていることが多いと感じる。
もちろん、すべての原因がそこにあるとは限らない。
でも、基本を十分に身につける前から自己流に走るのは、少し順番が違うんじゃないだろうか。
個性を発揮することと、基本を守らないことは別の話だ。
強い組織には、共通の考え方がある
以前、高校野球の強豪校について面白い話を聞いた。
高校野球は3年間で選手が入れ替わる。それなのに、甲子園の常連校は何年経っても強い。
その理由の一つは、練習に対する思考や心構え、目指すゴールが組織全体で共有されていることだという。
確かに、毎年優秀な選手が入ってくることも大きいだろう。でも、人が入れ替わっても強さを維持できるのなら、個人の能力以外にも理由があるはずだ。
これは理容室の店舗運営にも、そのまま当てはまると思う。
大切なのは、技術や行動の型だけでなく、その背景にある思考や価値観まで共有すること。
終礼を注意するだけの時間にしたくない
だから僕は、終礼で注意したり怒ったりするだけでは、売上は上がらないと思っている。
もちろん、間違っていることは指摘しなければならない。
ただ、毎日そればかりでは、スタッフ同士が欠点を探して指摘し合う関係になってしまう。
それよりも、
「こういう理容師になりたいよね」
「こういうことを大切にしたいよね」
「みんなでこういうお店をつくっていこうよ」
そんな話をもっとしていくべきなんじゃないだろうか。
昔から、褒めるときはみんなの前で、指摘するときは個別に、と言われる。
みんなの前で良い行動を認めれば、その行動が店全体の基準にもなる。
【終礼は、できなかったことを責めるだけの場所ではなく、大切にしたい価値観を共有する場所であってほしい。】
僕たちが大切にしてきた6つの基本
うちの会社では、昔から礼儀や接遇をとても大切にしてきた。
腰の低さや挨拶の音量もそうだし、お客様に良い印象を与えるための6つのポイントがある。
挨拶の回数
返事をする回数
声の大きさ・明るさ
名前を呼ぶ回数
笑顔の回数
相手を褒める回数
どれも特別な才能はいらない。意識すれば誰でも取り組めることばかりだ。
それなのに、こうした基本をおろそかにして、技術や集客だけで売上を上げようとするのは、会社が大切にしてきた考え方から逸脱していると思う。
僕の経験上、そういうお店はなかなか売上も伸びない。
そもそも、僕たちが売っているのは髪型だけではない。お客様が気持ちよく過ごせる時間や、また来たいと思える接客も含めたサービスなのだから。
店長ならどうするか。それを考えられる組織へ
理想は、スタッフ一人ひとりが「こんなとき、オーナーや店長ならどう考えるだろう」と想像できること。
別に上司と同じ人間になってほしいわけではない。
ただ、何を大切にして、何を優先して、どんなサービスをお客様に提供したいのか。その判断基準は共有しておきたい。
それができれば、いちいち指示を出さなくても、自分で考えて行動できる人が増えていくと思う。
そして、その考え方を次の世代に引き継いでいく。
【強い店舗をつくるのは、誰か一人の能力ではなく、みんなで共有している文化なのだと思う。】
売上が悪いから注意する。できていないから怒る。それだけでは、その場限りの改善にしかならない。
基本を大切にすること。良い行動を認め合うこと。目指す姿を何度でも共有すること。
そんな当たり前の積み重ねが、結局は一番強いお店をつくるんじゃないかな。



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