組織を作るうえで意識しなくてはいけないのは、
「全員が完璧に言うことを聞くことはありえない」
という大前提を持つことだと思う。
人間には感情がある。だから、どれだけ論理的に説明しても、
感情が伴わなければ納得しないこともあるし、
逆に感情で動いてしまうこともある。
だからこそ、感情とは関係のないルールを作ることで、
お店の雰囲気を安定させることができる。
例えば、お店の雰囲気が良くないと感じたときに、
「雰囲気を良くしよう!」と漠然とした指示を出したところで、
受け取る側によって解釈がバラバラになり、
結果的に変化が生まれないことが多い。
そうではなく、具体的な行動をルール化することで、
雰囲気を自然と良い方向へ持っていくことができる。
たとえば、
- 朝、向かい合って挨拶をする
- 相手に聞こえるように返事をする
- 「ありがとう」「どういたしまして」を必ず言う
こうした基本的な行動をルールとして明確に設定することで、
お店の雰囲気を無理に変えようとするのではなく、
お互いの関係性を築くことができる。
曖昧な指示は、2:6:2の法則に照らし合わせたときに、
上位2割の自主的に動けるスタッフには通用するかもしれないが、
それ以外の6割の一般的なスタッフには具体的な指針がなければ行動に移せない。
さらに、下位2割のスタッフにとっては、何をすればいいのか分からず、
モチベーションを下げる原因にもなる。
そのため、「何を」「誰と」「どうするのか」という行動規範を作ることが重要になる。
このルールをもとにスタッフが行動すれば、
お店は自然と理想の方向に進んでいく。
また、雰囲気が悪いことを指摘するのではなく、
ルールが守られているかどうかをチェックすることに重点を置く。
売上が上がらないことをチェックして注意するような環境を作ると、
スタッフはリーダーの顔色をうかがうようになり、
結果としてお客様よりも上司を怒らせないことを優先してしまう。
そうなると、スタッフは本来の目的である「お客様を満足させること」よりも、
「ミスをしないこと」に意識を向けてしまい、活気のないお店になってしまう。
そうではなく、売上を上げるために必要な行動をルールとして設定し、
それがきちんと守られているかをチェックすることが大切だ。
さらに、できていないことを指摘するときは、
全体に向かって発信することだけにし、個人には伝えないようにする。個人に対しては、
できていることや守れているルールについてフィードバックし、
ポジティブな評価を共有するようにする。
できていないことを伝えるときには、自分の感情で注意しようとしていないかをチェックし、
さらにそれが行動規範に明文化されているかどうかを確認する。
もし、行動規範にないことを注意する場合、
それを常識や当たり前という前提で伝えてはいけない。
その場合は、まずその行動をルール化し、
スタッフ全員が納得したうえで守るように決めることが必要になる。
そして、ルールの策定や改定を行うのは、必ずリーダーが行う。
リーダーが一貫してルールを管理し、それに基づいて指導することで、
スタッフは「何を守れば活躍できるのか」が明確になり、安心して働くことができる。
結果として、
「ルールを守れば活躍できる」
「ルールを守れば稼げる」
というシンプルで分かりやすい環境を作ることができる。
組織を作る際には、個々の感情に流されず、
具体的なルールを作り、
それを守ることで理想の職場環境を実現していくことが大切だと感じている。
コメント